スカウトが職業安定法違反で逮捕

池袋で活動するスカウトグループの代表ら5名が逮捕されました。逮捕容疑は、有害な業務に就かせる目的での職業紹介を禁じた職業安定法違反です。水戸市のソープランドが売春をさせていることを知りながら、勧誘した女性を紹介した疑いが持たれています。

2016.2.3 14:19
風俗店に女性紹介容疑…スカウト組織を摘発、毎月3000万円の紹介料得る

勧誘した女性を風俗店に紹介したとして、警視庁や茨城県警などの合同捜査本部は3日までに、職業安定法違反(有害業務職業紹介)の疑いで、東京・池袋を拠点にするスカウト組織「SSC」の代表〇〇〇〇容疑者(27)=東京都〇〇区=ら男5人を逮捕した。

警視庁によると、SSCは約20人の組織で、「風俗の仕事はどうか」などとJR池袋駅周辺で女性を勧誘。過去2年間で16都府県の105の風俗店に計約600人を紹介していた。風俗店から毎月総額3000万円の紹介料を得ていたとみられる。

逮捕容疑は昨年7月、水戸市のソープランド「クリスタル東京」が売春をさせていると知りながら、勧誘した女性を紹介した疑い。〇〇容疑者は容疑を否認している。

合同捜査本部は1月30、31日に、SSCに紹介料を払っていた秋田、福島、茨城各県のソープランド3店を摘発、店の経営者ら7人を売春防止法違反(場所提供)容疑で逮捕した。(共同)

(SANSPO.COM http://www.sanspo.com/geino/news/20160203/tro16020314190003-n1.html より引用。容疑者の氏名と住所は伏せました。)

スカウト行為の禁止

東京都では、公共の場所で不特定の者に対し、風俗嬢やキャバクラ嬢に従事するよう勧誘するスカウト行為は禁止されています。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例7条1項
何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1号~4号略)
5号 次のいずれかに該当する役務に従事するように勧誘すること。
イ 人の性的好奇心に応じて人に接する役務(性的好奇心をそそるために人の通常衣服で隠されている下着又は身体に接触し、又は接触させる卑わいな役務を含む。以下同じ。)
ロ 専ら異性に対する接待をして酒類を伴う飲食をさせる役務(イに該当するものを除く。)
(6号~7号略)

迷惑防止条例7条1項に違反して公共の場所で不特定の者に対しスカウト行為をすると「50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」の刑事罰に処せられます(迷惑防止条例8条4項5号)。常習として条例違反のスカウト行為をすると「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられます(迷惑防止条例8条10項)。

もっとも本件において捜査機関は、条例違反のスカウト行為ではなく、職業安定法違反に着目しています。

有害業務の職業紹介の禁止

本件では、有害業務の職業紹介を禁止した職業安定法違反が問題になっています。

職業安定法63条
次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
(1号略)
2号 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

容疑者らは、ソープランドに女性を紹介しています。ソープランドは、風営法2条6項1号が規定する店舗型性風俗特殊営業です。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条
6項 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
1号 浴場業(公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第1条第1項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業
(2号~6号略)

ソープランドで売春をすることは法で禁止されています。

売春防止法
2条 この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。
3条 何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。

容疑者らは、水戸市のソープランドが売春をさせていることを知りながら女性を紹介したために、有害業務の職業紹介の疑いで摘発されました。

まとめ

スカウトグループの代表らが、迷惑防止条例違反ではなく、職業安定法違反の容疑で逮捕されました。